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TY-HOUSE

HOUSE [ CHIBA 2018年 ]

日本の原風景に包まれた住まいです。
急峻な崖を背負う旧宅は築後60数年を経た伝統的な造りの住まいです。長い間家族を見守ってきましたが、崖の崩壊の危険性や高床式の住まい故の段差が、ご高齢の母君の日常に重くのしかかっていました。安全で過ごしやすいように、今は遠方に住まわれるご子息が母君のために計画された住まいです。
深い庇が作る陰影や、洗出しのポーチ、濡れ縁は伝統的な日本家屋の雰囲気を醸し出しています。和風のイメージとすることで、母君の旧宅からの住み替えが精神的な負担とならないよう試みています。
また、日常生活の負担が少しでも軽減できる様に配慮をしています。
雨天時には深い庇の下で雨にぬれずに車を昇降し、緩やかなスロープで玄関まで移動することができます。屋内は引き戸を多用し開けはなつことで洗面所、トイレを含め、母君の移動エリアを一室空間とすることができます。介護も視野に入れながら、温熱環境を含め物理的、精神的なバリアフリー化を実現しています。
崖の斜面には亡き父君が丹精込めたつつじが群生しています。長く住まわれた旧宅も万一の崖の崩壊のバリアをかねそのまま残し、思い出のシーンを想い、望みながら暮らせる住まいを目指しています。